DISASTER PREVENTION

VOLUNTEER DREAM TEAM

防災ボランティアドリームチーム

「集結」

〜活動記録写真〜

防災ボランティアドリームチーム集結を応援する会

代表 高橋 恒雄

写真集発刊にあたり、この二年間、被災地の復興に携わってくださった多くの皆様を代表して思いを述べさせていただきます。

この写真集は、出口の見えない状況から日一日復興への確かな歩みに向かい合ったこの一年間の貴重な記録であり、被災地に身をおき被災地の方の生のお声を聞き、今必要なことでできることを誠実に行ってきた人々の絆の記録でもあります。そこには悲惨な状況にありながら確実に増えていく笑顔があります。そんなかけがえのない歩みを皆様と共有したいと思い発刊の運びとなりました。

震災直後テレビで刻々と写し出される映像はとても凄まじい信じがたいものでした。

あまりの被害状況に日本はどうなってしまうのかと不安でした。1週間後の3月17日福島県白河の友人が石巻に入り状況を送ってきました。そして必要物資を集め送ることを始めました。

まちの駅を通じて救援物資を集め車に積んでの往復です。被災地では寝泊りするところ、水、食料などはもちろんないのでボランティアが長くお手伝いすることが難しい状況です。

そこで仲間の大山氏がトレーラーハウスを提供してくれることになりました。3月20日過ぎから東北通いが始まりました。そして宮城県と何度か交渉の末気仙沼の県有地にトレーラーハウスを運ぶことが決まり、4月10日には気仙沼にトレーラーハウスを設置しました。6棟を宮城県に無償貸与し、応援の東京都職員及び関連団体職員、宮城県職員等の宿舎として利用され活躍しました。

そして宮城県と話し合い空いているハウスをボランティア宿泊用に使うことになりました。

大勢のボランティアの方たちが支援に入られトレーラーハウスも利用されました。

元消防のレスキュー隊OB達も車中泊をしながら支援活動をしておりました。彼らは人の命を守ることに生涯をかけてきたプロ達です。たまたま「すがとよ酒店」を通し彼らと出会ったのがきっかけでこの支援活動の本体である「防災ボランティアドリームチーム集結」を6月19日に立ち上げ個々での支援活動を組織としての支援活動にしました。

自衛隊など公的制約のため活動出来ない、民間レベルでも一般ボランティアでは危険で出来ない作業を一手に引き受け気仙沼を拠点に南三陸町やその周辺地域一帯の支援活動を1年間にわたり行ってきました。2011年3月から2012年3月までの記録写真集です。

またトレーラーハウスを維持管理し「チーム集結」を応援するために「集結を応援する会」もほぼ同時期に立ち上げました。日本財団様始め多数の方たちにご支援いただき現在も南三陸町にトレーラーハウスを設置し活動を続けております。また南三陸町の消防署も津波で流され消防庁舎がなくトレーラーハウスを消防庁舎として提供してきました。

「チーム集結」は定年退職した人たちで立ち上げられこともあり、ユニホームも赤いちゃんちゃんこをイメージしてデザインしました。

この写真集は東日本大震災直後からの支援活動をしながら被災状況及び支援活動を隊員たちが撮っておいたものを本にまとめたものです。

甚大な災害か起こった場合、どのような支援が必要なのかハード面ソフト面そして何より被災された人々が生きる希望をもてるボランティア活動在り方などを考えていく一助になれば幸甚に思います。

ここに1年間の活動記録及び被災地の復興状況の写真を時系列にまとめました。
この活動を通していろいろな出会いがありました。多くの方たちにご支援をいただき
我々活動も微々たるものですが被災地支援にお役にたてたことを隊員一同嬉しく思います。
今回の活動を通してボランティア活動のあり方についても新たに学ぶ機会となりました。
現場での作業に従事する人、またその人たちがより活躍できるように支える人、 またその支える人たちを支える人というようにあらゆる場面での応援の仕方があることを広めることもできました。その時その場でできることを背伸びせず自分の意志で
長く続けることが大切なことです。
またがれき撤去だけではなく心の支えになるようないろいろな活動も大切なことと思います。
「防災ボランティアドリームチーム集結」と「防災ボランティアドリームチーム集結を応援する会」 (通称ボランティア集結を応援する会)では今後起こるであろう東海、東南海、首都圏直下地震等に備え支援活動のネットワーク化を進めていきたいと考えています。
今回の経験から消防、警察、自衛隊OBなどで枠組みを越えた全国的な文援活動組織にできれば、 災害時には実情にあったボランティア組織ができると思います。今回我々民間人が
トレーラーハウスを被災地に持ち込むのにも行政との接点がなく大変苦労しました。 災害は起こらないほうがよいのですが、有事に備えてスムーズにことが運ぶよう、
平時のネットワークづくりがとても大切なことと思います。
今回のボランティア活動を通して一人一人の心が大きな力になることを実感しました。
また、故渡辺隊長は1年間に200日以上気仙沼でボランティア活動を続けられました。
その他の隊員の方たちも随分長期間にわたり滞在し支援活動に従事されたことに感謝します。
また福島県は未だに手つかずの状況のところが多く今後もいろいろな支援活動を必要としています。
できる限りの支援活動を続けていきたいと思います。
多くの方の心と力の集結した証をこの写真集として残すことができました。

故渡辺隊長に捧ぐ

高橋恒維

謹んで故防災ボランティアドリームチーム「集結」会長代行渡邊眞隊長の御霊に捧げます。

これは私が故渡邊眞隊長からいただいた記録と手記を併せて引用要約したものです。

このサイト公開にあたり渡邊隊長の思いを知ってもらいたく書き起こすことにいたしました。

変化の激しい現代社会ではありますが、渡邊眞隊長が遺した言葉「咲かせ散らすな オレンジの華」(*注)と「人を思う心」は、全てのボランティアの方々に共感してもらえるものと思っております。

在りし日の渡邊眞のお姿を偲びつつ、心よりご冥福をお祈りいたします。敬礼。

2023年(令和5年)3月11日

防災ボランティアドリームチーム集結

集結を応援する会青森県支部

青森県・弘前地区消防事務組合 中村康司

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2011年(平成23年)3月11日に発生した、 「東日本大震災」では、マグニチュード9 という、 私達がかつて経験したことのない巨大な規模の地震でした。

さらに、地震直後の津波では、 これまでの想定をはるかに超える大津波が襲来し、太平洋沿岸地域で壊滅的な被害を受け、正に未曾有の大災害となったのであります。

地震直後の津波発生から、刻々と伝える各マスコミ報道の映像等で、甚大な被害の状況あるいは被災者の困窮を見るにつけ、 長年、プロのレスキュー隊員として培ってきた私たちの知識や経験則を基に、 何かお手伝いできることがないものかと考え、とにかく現地に行って見ようということになり、仲間数名が震災直後から女川町で活動を開始し、次いで気仙沼市に赴きボランティア活動を行ってまいりました。

その活動を通じて感じたことは、被災者の方々が住宅の復旧やお店の再開に向けて、 床下の土砂搬出やガレキの撤去、 被災を免れた貴重な品々や思い出の品の搬出、 さらには樹木保全のための伐採等々、その内容は大小多岐にわたり、 家族や親類などの少人数ではとても手に負えないような作業等が山積し、長期間にわたる多くの人の手伝いが必要であることがわかりました。

このような状況を踏まえ、 私たちがより効率的な支援活動を行っていくためには、組織的に活動することが必要であろうとの考えから、全国の消防OBの有志たちが集結し、気仙沼市を拠点として被災者の支援活動を行うことを目的とする「防災ボランティアドリームチーム 集結」を、20数名の発起人で立ち上げることといたしました。

また、民間会社に勤務する方々などにもお声がけをいたしましたところ、たくさんの方々にご賛同をいただきチームに加わっていただきました。特に、「カブコホームズジャパン株式会社」の大山社長からトレーラーハウスを宿舎としてご提供いただいたことにより、被災地に活動拠点を有する長期滞在型の新しいタイプの災害ボランティア体制を構築することができました。

今やその熱意が、消防の枠を超え、建設業や各企業などの有志たちに飛び火し、「日本のために頑張る」 という者たちが、 “集い結ぶ " まさに、 ドリームチーム。

今後、日本全国にネットワークを築き、災害とあらば、日本全国、いつどこにでも展開できるボランティアチームを目指しています。

もし、あなたのまちが災害に遭ったら、 我々は必ずや駆け付けるでしょう。

被災地の一日も早い復興を願いつつ、微力ではありますが、地道に息の長い活動を展開してまいりたいと思っておりますので、今後も皆様の格別なるご支援、ご協力のほどお願い申し上げます。

追伸

約10ヶ月の活動実績を総括すると、「絶対に行動すべき」という答え以外は見つかりません。

当然すべて善とは言いません。

課題も山積みです。

しかし、考える時間よりも行動を起こす勇気が我々に課せられた責任ではないでしょうか?

ちまたでは、「災害は忘れた頃にやってくる」 と言われておりましたが、最近の頻発する自然災害の発生を勘案すると「災害は忘れないうちに確実にやってくる」と断言できます。

皆で備えましょう。

皆で行動しましょう。

皆で集結しましょう。

あなたの力を集結は待っています。

防災ボランティアドリームチーム「集結」

会長代行(新潟市消防局OB) 渡邊 眞※

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※平成24年10月9日、享年64歳にて遥かな旅路につく

*注)「咲かせ散らすな オレンジの華」は、渡邊眞隊長が生前書いていた言葉で、「東京消防庁特別救助隊歌」の歌詞の一節。

「オレンジ」は消防救助隊のシンボルカラー。